枝画への誘い 柴沼清


柴沼 清(しばぬま きよし)

 

  • 1954年5月11日生まれ、茨城県笠間市(旧友部町)出身
  • 現在、茨城県ひたちなか市在住
  • 早稲田大学大学院修了、工学博士(核融合工学、構造工学、ロボット工学)
  • 2015年3月、日本原子力研究機構(旧日本原子力研究所)定年退職後、現在に至る

 「枝画」経歴

  • 小中学校での授業以後の絵画等の作品制作なし
  • 所属団体:なし
  • 「化石の森」シリーズ:14作品制作(2018年3月ー11月)
  • 「枝画」:第1号作品「二重唱」制作(2018年12月)、以後2022年2月現在までに57作品制作

 


好きな画家

  • 円山応挙(まるやま おうきょ):江戸中期―後期の絵師、特に「氷図屏風」(大英博物館所蔵)は2曲の屏風の下半分に20本程度の角度の異なる長短の直線を描き、湖面の氷上に無限に広がる氷の亀裂を描いた現代アートとも言える作品である。静寂の中に研ぎ澄まされた日本刀の如く深く心に突き刺さる。この作品の前では全てが停止する。
  • 長谷川等伯(はせがわ とうはく):安土桃山時代の絵師、代表作「松林図屏風」(東京国立博物館蔵)は、朝霧の中に浮かび上がる松林のシルエットで、霧が晴れる直前の一瞬の緊張感と深い無常観に圧倒される。霧の中に確固たる透明感がある。

 これら2つの作品に共通するものは、余白の美と「京都龍安寺の石庭」とも共通する時代を超えた永遠のモダンで心の中の無限の宇宙観を表現している。

  •  葛飾北斎(かつしか ほくさい):富嶽三十六景(神奈川沖浪裏など)の木版画。肉筆画は希少価値が高いが、輪郭線のシャープさと線の美しさが強調される木版画により魅力を感じる。全体構図の発想と一瞬の緊張を伴った躍動感の絶妙なバランスが巧みで、他の追従を許さない唯一無二の存在である。 

 以前は、暗く陰湿な印象の水墨画を中心とした日本画はそれほど好きではなく、ゴッホ、モネ、セザンヌなどの一般的に有名な洋画が好みであった。しかし、本場のヨーロッパにてこれらの数多くの名画を見ることを重ねるにつれて、また年齢を重ねるにつれて、40歳代ごろからは実物を見ても以前ほどの感動はなくなった。

 

 このような時期に、3人の日本画の絵師による上記の特別な作品に出合い、作品が持つ余白の中の宇宙観と余計なものを排除した心の奥の情景の表現、そしてその中に「生と死」を見つめた精神性の高さに衝撃を受けた。これらの作品には、日本画や洋画の枠を超えて、芸術における時空を超えた永遠の神髄がある。