枝画への誘い 柴沼清


新しい0(ゼロ)の世界へ

 

 従来の芸術分野における慣習とは異なる新たな視点・基点「0(ゼロ)」の観点から,「木の枝を輪郭線」とする枝画(えだが)を創始した。この新しい「0(ゼロ)」の観点から絵画・彫刻・書の新たな世界へ誘う。

  • 漆喰で固めた木の枝を輪郭線とする新たな技法で制作した枝画(えだが)の絵画、彫刻、書のネット個展へようこそ。
  • 自然で躍動感のある木の枝の輪郭線と二つのKAGE(影・陰)による表情の変化が織りなす新しい世界観をお楽しみください。

まえがき

 

 洋画、日本画、版画、工芸美術、デザイン、彫刻、現代アート、書などの従来のジャンルの垣根を超えて、制限のない「自由な発想」で作品を制作した。また、複雑な現代社会における新たな人間像や美意識、さらには社会的な問題などに至るまでの幅広いテーマにも対応した。これにより、「自由な発想」の下に、テーマ毎に応じて写実画、デフォルメ画、風刺画などの「画風の大幅な変更」を行うことにより、各テーマの奥に潜む「心」を新たな技法を用いて描くことを作者の願いとして試みた。

 一連の作品は凹凸のある立体画であり、写真からは作品の持つ特徴的な印象や感触が十分には伝えられない可能性がある。作者としては実物を何らかの機会に鑑賞していただければと願っている(次回展示会のお知らせ )。

 特に、新しい制作手法である枝画では、自然な木の枝を用いた「自然で躍動的な輪郭線」の魅力に加えて、「光」と二つの「影・陰」を効果的に演出することが可能となる。これにより、作品の表情が大幅に変化するため、この変化を体験していただければ幸いである。

 

枝画(えだが)の特徴(1)ー制作的観点ー

 

 絵の輪郭線に木の枝を用い、まず平板上に仮固定した枝を漆喰で強固に固定し、次に枝で構成された輪郭線内の領域を絵具で彩色した。この技法で制作した作品を「枝画(えだが)」と名付ける。

 枝画の特徴を以下に示す。

  1. 枝画は、陰影のあるレリーフ、明確な輪郭線から成るステンドグラスや浮世絵版画の特徴を併せ持つ。このため、輪郭線である木の枝の形状(変則的であるが自然な曲線や分岐)が作品の主役となり、この枝の輪郭線により作品の表情が大幅に変化する。
  2. すなわち、木の枝の輪郭線は人の手による筆線とは異なるため、人手ではまねのできない不規則ではあるがリズミカルな曲線の表現が可能となる。
  3. 輪郭線となる木の枝は3次元的な空間形状であるため、2次元的な表現に留まることなく3次元的な表現に拡張可能となる。
  4. 枝画では、このように形状的な表現の自由度が大幅に増すことから、絵画的な平面作品から3次元的な彫刻作品に至るまで、さらには線の芸術である書の世界の表現にもジャンルの枠を超えて制作可能となる。

 枝画にとって、自然の木の枝の形状(曲線や分岐)を用いた「輪郭線」が制作上の最大の特徴なり、ジャンルを超えて作品の表情を作る源流となる。

 

枝画(えだが)の特徴(2)ー鑑賞的観点ー

 

 枝画は木の枝を使った創作作品で、枝を使うこと自体はユニークであることから、作品の「制作的観点からの入口」である。さらに、枝画は立体画であることから、鑑賞的観点からは以下の特徴がある。

  1. 枝画の凹凸による「影(見える影)と陰(隠れて見えない陰)」による表情の変化、すなわち枝の形状(曲線や分岐)を用いた「輪郭線」から形成される領域による二つの異なる「影」と「陰」が表情の主役となる。これが「枝画」の「鑑賞的な観点からの本質」となる。
  2. このため、朝・昼・夜の光により、さらには移動しながら作品の「影」と「陰」の変化を楽しむことが新たな鑑賞法となる。
  3. これは例えば、微笑みと悲しみなどの複数の複雑な表情の変化を「影」と「陰」を効果的に用いることにより、容易に1つの作品として制作することが可能となる。その結果、大げさに言えば作品と見る人との対話が無限大に広がる可能性がある。

  枝画は、上記の特徴(1)と(2)を融合したものが最終的な枝画の特徴となり、木の枝を使うこと自体が「入口」であると共に、作品の表情を決定する「出口」でもある。

 枝画は見る人を含めて周囲の環境により表情が変化することから、画は「未完の完」として制作自体が完了し、作者を離れて作品自体が自立する。

 すなわち、作品自体が自立して周囲の環境に合わせてその情が変化すれば、作品と見る人の多様な出会いが可能となる。このような出会い、作者の願いである。

枝画の特徴とその解説(図解)


これまでの発表作品


第1回個展(常陽藝文センター)

 以下は、令和3年4月2日から5月5日まで茨城県水戸市の常陽藝文センターで開催された第1回個展の作品です(35点)。


第2回個展(常陽藝文センター)

 以下は、令和4年2月18日から3月17日まで茨城県水戸市の常陽藝文センターで開催された第2回個展の作品です(新作26点)。第2回個展では、旧作を含めた全41作品を展示した。

 


グループ展「飛翔」(ギャラリー・サザ)

 令和4年6月7日(火)ー6月13日(月)に、ひたちなか市の「ギャラリーサザ」にて5人の作家によるグループ展「飛翔」に参加しました。前半と後半に5点づつ、全10点の枝画作品を展示しました。

枝画関連SNS&URL


 枝画関連のSNSとURLのリンクを以下に示す。